児童虐待とは、保護者がその監護する児童に対し、身体に外傷が生じる(または生じ得る)暴行を加えたり、わいせつな行為をしたり(またはさせたり)、保護者としての監護を著しく怠ったり、著しい心理的外傷を加える言動を行うことをいう(児童虐待防止法2条)。
以上の定義を前提として、児童虐待に関わる各種統計や原因論を検討することにする。
児童虐待は家庭や社会内施設という密室内の事件であるだけに、その正確な実態を把握することは極めて困難である。したがって、以下にあげられる各種の統計は、実際に行われている児童虐待の氷山の一角に過ぎない。表面化した件数に比べて、暗数は10倍程度存在するとも言われている。

①各種の統計は、児童相談所や警察などの関係機関を対象にしたものだから、
これらの機関に関わらなかった事例は統計に現れてこない。
②医療や保健の現場において、児童虐待に関する知識が不十分なため、
看過されている事例がある。
③被虐待児が幼くて証言能力がなかったり、虐待者からの報復等を恐れて虐待の
証言をしなかったりする場合があるなどの事情があげられる。
虐待を受ける児童は、男児52.3%、女児47.7%と男児が若干多いとする統計ある。
ただ、性的虐待に限れば、男児2.9%、女児97.1%と圧倒的に女児の合が高い。
児童虐待の件数については、自治体間の格差が存在する。
①児童保護司・児童相談所の力量
②民間団体の活動の有無
③福祉事務所・保健所・保育園・幼稚園・小学校・病院・弁護士などのネットワークの程度によって、児童虐待への取組みの水準が異なることによる。たとえば、大阪府が最も児童虐待の発生件数の多い自治体になっているのは、児童虐待が発覚しやすい態勢が整っているためと考えられよう。したがって、件数の多い自治体は児童の権利擁護が進み、件数の少ない自治体は児童虐待が潜在化していると言えるかも知れない。なお、児童虐待の発生件数が、都市部においては人口1万人に対し2.2人、非都市部においては人口1万人に対し1.5人とする調査結果があり、都市部の方が比較的多いことがうかがえる。
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