上司・部下への悪口はどの企業にも存在する問題である。別に影でこそこそ悪口を言うことは社会一般に許容している範囲として罪に該当することはありません。
しかし、事実無根の誹謗中傷、人格攻撃、執拗な叱責に当たるような場合、又はそれを文書やメール、インターネットへの書き込みなどで公開した場合、名誉毀損罪・侮辱罪という刑法上の罪に該当する可能性が生じ、民法709条により損害賠償請求を求められることもある。
上司から部下への悪口の場合、上司は部下に対して指揮命令権を与えられるため、指導・監督する立場から部下を叱責する機会は当然生じるだろう。問題はその叱責が社会通念上の指導・監督の範囲を逸脱した罵倒、業務の強要、人格攻撃などが行われた場合にパワハラ行為として非難される。このような行為によって部下が体調を崩したり、うつ病などの精神障害を生じた場合、損害賠償義務が生じる場合がある。ただ、実務的には医師の診断書がありそこに「会社の上司によるパワハラ行為による」などの文言が重要な証拠として扱われることになる。
上司が部下に対する指導・監督は社会通念上の常識を超えない範囲であることを意識して良識を持ってすべきであろう。
次に部下から上司に対する悪口である。この場合に問題になるのは公然と悪口を言った部下に対する処分である。会社は悪口を言ったことに対してではなく、業務中にそのような行動に出る行動が業務怠慢である、と称して左遷・解雇通告などの処分をしてくる場合がある。これは、明らかに部下に対する見せしめである。この場合、部下はその処分に従うか会社に対して異議を唱えなければならない。異議を唱えた場合は最終的には裁判まで発展する可能性があり、たとえ裁判で勝訴しても続けて会社に在籍することは難しい状況になるだろう。
ただし、部下が公然と上司の悪口を言って、注意を受けたにもかかわらず、繰り返し言い続け、それが業務に支障を来たす場合就業規則違反で戒告、懲戒、解雇をされる可能性は十分にある。
また、インターネットへの書き込みで上司の悪口を綴った場合は上司のみでなく、会社に対するイメージを損ねる可能性がある。この場合、逆に会社から損害賠償を求められる可能性がある。
結論だが、上司と部下の関係は人間関係であるため日常のコミュ二ケーションを大切にして、お互いを理解することが最も重要であろう。以前と異なり転職が珍しい時代でなくなったとはいえ、やはり職場を変えることは相当な抵抗があるはずで、ましてやそれが人間関係ならばなおさらである。お互いを非難しあう職場ではなく、お互いに支えあう職場こそが理想の職場になるだろう。
