平成20年6月、「秋葉原通り魔事件」を始めとする凄惨な通り魔事件は絶える事がない。一家の大黒柱がこの様な犯罪に巻き込まれて死亡あるいは就業不能な状態になると、経済的な損失も大きい。犯罪被害者には、犯罪加害者に対して損害賠償を求める権利がある。ただ、従来は民事訴訟を起こすのも簡単な話ではなかった。裁判に必要な証拠収集、資料収集の手間とコストは非常に高い。経済的な苦境に陥りやすい犯罪被害者やその遺族にとって、そのコストが民事裁判の障害になっている。
【法律の動き】
2007年に「損害賠償命令制度」が制定された。これは、刑事裁判中に被害者が申し立てれば、刑事裁判の有罪判決後、同じ裁判官が損害賠償の審理をして、賠償額を決める制度である。対象は故意犯による殺人や傷害、強姦や誘拐などに限られるが、複雑でない事件ならその日の内に審理が終わる。この制度により、民事訴訟の負担は軽減されたが依然として問題も残る。ある調査によると、被害者死亡の場合、遺族が損害賠償を僅かでも受け取る事が出来たケースは約10パーセントである。たとえ損害賠償が確定していても、加害者に財産が無かったり、あっても財産隠しをしていたりして、事実上賠償金をもらえないケースが多い。