ここ数年、マンションをめぐるトラブルで目立つのは、耐震強度調査、ペット飼育、修繕積立金などに関する問題です。まず、まだ記憶に新しい「姉歯事件」以来、「このマンションも危ないのでは」と不安になって、耐震強度の調査を行うケースが増えている。その結果、何の問題も無ければいいのだが、「図面と比べてみたら、図面通りではない箇所が見つかった」という様な結果が出てしまい、ややこしい話になってしまう場合がある。
「その程度であれば、耐震強度に影響はない」という販売業者と「万全を期して補強工事を行うべきだ」という住人側が対立する事もあるからだ。安心を得るために調査したのに、逆にトラブルを抱えてしまうという現象も起きている。
ペット問題では、例えば猫を沢山飼っている住人がベランダに猫用トイレを置いていた。最近は、飼育規定を満たせばペット可のマンションも珍しくなく、それだけなら特に問題ないが猫の数があまりに多く、トイレもすぐに汚れてしまう。その為、飼い主はクレゾールなどの薬剤を大量に撒いた。その化学薬品のせいで、下の階の住人が頭痛などの健康被害に悩まされる事になったという。結局裁判で争う事になったが、飼い主は「クレゾールなど撒いていない」と主張した為、原告は事実の立証をしなければならない。近隣の住人にこの事実に関する聞き込み調査を行って証拠とし、飼い主が慰謝料を払う事で決着した。
修繕積立金の問題も、古いマンションでは避けて通れない。特に当初の区分所有者がだんだん抜けていなくなり、賃貸区分が多くなっているマンションは要注意である。実際の所有者が現に住んでいるマンションであれば、マンションの修繕をしようかという話も近所付き合いの中で自然に出てくるものである。ところが、所有しているだけで実際に住んでいない場合だと、他の住人との付き合いもないし、管理組合の総会も欠席する事がほとんどであろう。一方、管理組合の理事長は実際にそのマンションに住んでいる人が務める事が多い。
よくあるのが、改修工事業者に口説き落とされた理事長が、十分な根回しもしないまま総会の議題にあげ、出席者だけで工事を可決してしまうケースだ。この様なケースだと「理事長は業者と癒着しているのではないか」という様な疑惑も生まれる。この様な疑惑をもとに、改修工事反対派が総会を再招集し、反対決議が可決されると、まさに泥沼の紛争に発展する事もある。