念願の新築マンションを購入。あとは完成・入居を待つばかりのところへ、「目の前に高層ビルが建つ」というニュースが飛び込んできて、日当たりや眺めが悪くなるとしたら、それからでもマンションの売買契約は解除できるのか。
結論からいうと、契約時にマンションの売主から高層ビルの建設予定を知らされていなければ、解約できる可能性が高い。具体的には、契約時に渡された「重要事項説明書」などの書面に高層ビルの建築について記載されているかどうかである。
宅建業者が仲介したり、売り主が業者の場合、取引に関する重要事項を書面にして説明する義務がある(宅地建物取引業法35条)。日照権は一定時間以上の日当たりを確保することで健康的・文化的生活を営む権利だから、当然、重要な事項である。また眺望見は、日照権に比べ認められにくい傾向にあるが、「海の見えるマンション」のように、眺めのよさがセールスポイントだったのであれば、やはり重要事項といえる。したがって、故意に高層ビル建築を隠した場合だけでなく、高層ビルの建築を売り主などが知ることができた場合の過失であっても、契約の解除が認められ、手付金も返ってくることがある。
ちなみに、買い主が手付金を放棄すれば、履行の着手まで、理由がなくても契約解除が認められる。しかし、手付金は通常、マンション代金の5%から10%くらいなので、もし4000万円のマンションなら200万円から400万円となり、買い主の負担が大きすぎる。売買契約の解除をする場合、内容証明郵便で申し入れるのがよい。内容証明は素人でも書けないことはないが、弁護士などプロに書いてもらった方が間違いなどはない。
ところで、すでに住んでいるマンションの目の前に高層ビルが建つ場合、そのビルが建築基準法や日影条件に違反していないかどうかが問題となる。建物は着工前に役所で建築確認を取っているため、違法である確率は低いが、もし確認書と違った建物を建てるなど、違法があれば建築差し止めや高さの変更を求めるのも不可能ではない。
違法建築でなくても、日照権の侵害があまりにもひどく「日常生活を送るうえでの受忍限度」を超えていると判断された場合は違法となり、高さの変更を求めたり、損害賠償を請求できる。受忍限度とは常識的に我慢できる範囲と言うような意味で、事務所や会社などより住宅のほうが日照を確保すべき割合が高い。学校や病院などがそばにあれば、「受忍限度を超えている」と認められやすいといえる。逆に、工場や商業施設が多い地域であれば、「ある程度日当たりが悪くても仕方ない」となる。
日照権などは認められにくいと言われているが、過去に、庭の場合で日照権が認められた例など勝訴の判例もいくつかある。