まず知っておいてほしいのは、株やFXで得た利益は、一部例外があるにせよ原則として確定申告が必要だということ。にもかかわらず現状では、確定申告をしていない人が非常に多い。しかし脱税は国家に対する犯罪であり、ペナルティも重い。軽い気持ちでしたことが割に合わない犯罪になりかねないので注意が必要だ。
さて個々の説明をしていくと、まず、株の配当金は配当所得として、株の売買益は譲渡所得として、FXの利益は雑所得として、それぞれ申告する。その際、FXは「店頭取引(非取引所取引)」を利用しているか、「くりっく365(取引所取引)」かによって、課税の仕組みが異なります。
個々の事業者を通じて行う店頭取引(取引全体の九割を占める)では、利益は雑所得の総合課税分となる。この場合は雑所得内での通算は可能だが、それ以外の所得、例えば給与所得などとの損益通算はできず、先物取引による雑所得などとの通算もできない。また、損失が出た場合でも、それを翌年以降に繰り越すことはできない。
一方、くりっく365を通じた取引(取引全体の一割を占める)では、利益は雑所得の申告分離課税分となり、所得金額にかかわらず一律20%の税率で課税される。先物取引による雑所得以外の他の所得との損益通算はできない。また、損失は3年まで繰り越し控除の対象にできる。株とFXの利益で、例外的に確定申告が不要なのは以下のケースである。
まず上場株式において、証券会社の特定口座を利用し、源泉徴収を行っている場合。これは源泉徴収によって納税が済んでいるので、改めて申告する必要はない。
上場株式の売買における損失は、損失分を3年にわたって繰り越し控除できるが、そのためには必ず確定申告を行う必要があるので、注意したい。また、FXの利益などで、①年収2千万円以下の給与所得者で②勤務先が1つで年末調整が完了しており、③給与所得・退職所得以外の合計額が20万円以下、という3つの要件をすべて満たす場合も、申告は不要となる。
こうしたルールを理解せず、必要な確定申告を怠ったり虚偽の申告をするとペナルティが科される。まず追徴課税。所得を少なく申告した場合は、事実の隠蔽があると本来払うべき税金額にさらに35%、申告を怠った場合は40%が上乗せされる。いずれも延滞税が年利14.6%で加算される。さらに脱税額が数千万円という高額であったり、手口が悪質ならば、所得税法違反として刑事告発される可能性もすくなくない(238条)。その場合は懲役5年以下罰金500万円以下を併せて科されることもある。もちろん社会的制裁もきつい。「そうはいってもバレないだろう」と言う思い込みは非常に危険だ。来年よりFXの店頭取引にも支払調書の提出が義務づけられるなど、税務署は今まで以上に申告漏れに目を光らせてくる。
最近ではFXで儲けた主婦がその利益4億700万円の申告を怠ったことが明るみに出、所得税法違反として執行猶予付きで懲役1年6ヶ月、罰金3400万円の判決を受けた。また、元小学校校長が同じくFXの利益3億1200万円を申告せず、やはり執行猶予付きで懲役1年6ヶ月、罰金3200万円を科されている。
家族が取引を行っていれば、当然必要であるが、問題なのは、家族が内緒で取引しているケースだろう。その場合、ひっきりなしにパソコンや携帯の画面を見ていたり、お金の使い方が変わるといった兆候が表れるので、見逃さないことだ。