先頃、大阪の道頓堀の有名飲食店が7月に閉店した。これに伴い、同店の商標権や人形の譲渡について、誰が取得するのか注目を集めている。
また、商標権を巡る争いとして、持ち帰り弁当有名店の内部紛争も記憶に新しい。
商標権は自由譲渡が原則で、組織変更やM&Aの実務では他の財産と同じように扱われます。しかし、企業法務の現場では、商標に対する意識は特許に比べて低く、商標権管理の手続きも後回しにされがち。その結果、商標権の存在そのものが忘れられたり、関係者間での思い違いを発生させてしまうのです。
そもそも商標法に基づき、自分の商品や役務を識別する文字や図形、記号、看板や人形等の立体の標識を独占的に使用する権利。特許庁に出願して登録されると商標権が発生する。ただし普通名詞や慣用名称、既に、他の人が登録した商標と同一または類似しているものなどは認められない。
商標登録されていない商品表示も、不正競争防止法で保護されるが、対象は有名ブランドなど利用者に周知され、一般に著名なものに限られる。また商標権は先願主義だが、不正競争防止法では、たとえ先に発表しても、世間に認知されていなければ保護されない仕組みだ。
他人に商標権を侵害された場合は、民事事件として損害賠償請求や差し止めの仮処分申請などの法的な対応が可能。仮処分は数ヶ月ほどで決定するが、損害賠償の裁判は一般的に数年かかる。一刻も早く相手に使用をやめさせたいのなら仮処分申請を、相手に逃げ道を残しながら和解の道をさぐるなら損害賠償請求や差し止め請求が妥当な選択肢となる。和解金は「商標を利用した事業で得た粗利益の3〜10%が相場」だ。
また、商標権の侵害は、刑事事件としても告発出来るが、「偽ブランド品を大量に販売するなど犯罪性向が強い事件以外、警察は動いてくれない」という。
では、知らないうちに他人の商標権を侵害してしまった場合はどうか。その際、厄介なのは商標権ブローカーの存在だ。
「自分で商売をやっていない相手から警告書が送られてきたら、商標を売りつける事を目的とするブローカーだと疑ったほうが良い。この場合、不正の利益を得る目的での使用を禁じる商標法四条一項一九号を根拠に商標登録の無効審判を請求出来ますが、なかなか認められないのが実情、商品やサービスを新開発、販売する時は、まず他人に商標登録されていないかどうかを事前に調べ、早めに商標登録する事がトラブル予防の鉄則となる。
事業の初期段階でコストをかけられない場合も、事前の調査だけはしておきたいものです。